落語「粗忽長屋」は二人の粗忽者が見せるタイプ違いの粗忽キャラ

rakugo-sokotsunagaya 滑稽話

この記事では、そそっかしい性格の人物が登場する「粗忽長屋」を紹介します。
この噺は、東京、上方双方で高座にかけられる古典落語です。

 

落語の世界では、「そそっかしい」、「おっちょこちょい」の度合いが尋常ではない「粗忽者」が騒動をおこします。

 

現実離れした空想場面が、落語家の巧みな話芸により観客の頭の中を巡ります。
粗忽者が主となって展開される噺はいくつかありますが、その代表的な落語です。

 

落語「粗忽長屋」の聞きどころ

けたはずれの粗忽者二人が登場します。

 

ただこの二人は、同じ粗忽な人物でもマメでそそっかしいタイプと、どこか不精で面倒がってしまうタイプで対照的なキャラです。

 

思い込みが激しくおっちょこちょいの八五郎は、行き倒れを友達の熊五郎だと信じ込んでしまいました。

 

隣に住む熊五郎は、いつもの調子でどこかぼんやりと長屋にいます。
長屋に戻った八五郎は、熊五郎に向かって「おまえは死んでしまったんだ!」と言い聞かせます。
熊五郎も負けず劣らずの粗忽者で、おっとり型のおっちょこちょいです。
二人は、行き倒れの現場に向かいます。

 

タイプの違う二人の粗忽者を、卓越した話術で演じ分ける落語家の高座に引き込まれてしまいます。

 

落語「粗忽長屋」のあらすじ

八五郎が浅草観音詣でにくると人だかりが・・・・・

道端の人だかりが気になり、後方いる人に何があったのか聞くと誰も知らない、とのこと。
自分の目で確かめようと、大勢の見物人の股の下をくぐって最前列に出てみると、なんと行き倒れでした。
よく見ると同じ長屋の住人、仲の良い弟分の熊五郎です。

 

熊五郎に違いないと言い張る八五郎

「今朝、顔を合わせた時にボンヤリとしていたけど、ここで行き倒れているのに気がつかねえんだ」
「違うね、この人は昨日の夜からここに倒れているんだ」と言われても、納得しない八五郎。

 

本人をここへ連れてくる、と世話人へ告げ長屋へ

世話人の言うことも聞かずに、熊五郎がいる長屋へ向かいます。
お前は昨日、浅草で死んでいると伝えるが、まだ起きたばかりの熊五郎はぼんやりとしていて、「死んだ心持がしねえ」と言いながらも心配になってしまいます。

 

二人連れだって行き倒れの現場に・・・・・

「あのね、しっかりしなさいよ。しようがないねえ~、死骸をよくごらんなさい」
行き倒れをみて、
「ああ俺だ、なんて浅ましい姿になっちまたんだ」

 

呆れかえってしまった世話人が止めるのも聞かずに、引き取って行こうとします。

 

 

八五郎に言われ熊五郎は死骸を抱くが・・・・・

「兄貴、なんだかわからなくなっちまった。」
「抱かれているのは確かに俺だが、抱いている俺はいってえ誰だろう」

 

 

落語「粗忽長屋」のオチは難しい?

いつの時代でも、そそっかしい人がやってしまう勘違いや早とちりは笑い話になります。

 

ところが落語・粗忽長屋では、けた外れの粗忽者二人が巻き起こすあり得ない噺です。
飛び抜けたあわて者が住む粗忽長屋が存在するなら、どんな長屋になっているのか、
空想したくても想像脳が追いついていけません。

 

まじめに受け止めてはいけないオチですね。