東京落語界だけでなく、上方落語界でも女性落語家が増えてきました。
かつては、男性が中心となって盛り上げてきた落語界です。
その中で、2021年11月「NHK新人落語大賞」で見事大賞を受賞した「桂二葉」さんは女性落語家。
50回を数えたこの大会で、女性の大賞受賞は初めてのことです。
男性が中心の落語界に風穴をあけた、と話題になりました。
海外の新聞社も報道した女性落語家
アメリカ、フランスの大手新聞社も大々的に報じ、海外メディアからも注目されている新進気鋭の落語家です。
女性には難しいといわれる古典落語にこだわってチャレンジしています。
桂二様のプロフィール
名前 | 桂二葉 |
読み | かつらによう |
出身地 | 大阪市 |
生年月日 | 1986年8月2日(36歳) |
血液型 | 0型 |
所属事務所 | 上方落語協会、株式会社ステッカー |
資格 | 博物館学芸員、大阪検定3級 |
上方落語界では若手人気落語家の一人です。
かん高いよく通る声が特徴で、独演会のチケットは完売するほどの人気です。
最近では、東京の高座にも上がるようになり知名度も高くなってきました。
桂二様の経歴
2011年
桂米二に入門
9月梅田太融寺にて「道具屋」で初舞台
2020年
令和2年度NHK新人落語大賞 優勝決定戦出場
2021年
第7回上方落語若手噺家グランプリ 準優勝
令和3年度NHK新人落語大賞 優勝
2022年
第8回上方落語若手噺家グランプリ 準優勝(2年連続)
NHK新人落語大賞では、令和2年度も優勝決定戦まで進出していますが敗れています。
その時はかなりの酷評を受けていました。
噺の勉強に打ち込み1年後、NHK新人落語大賞を手にしています。
司会の林家たい平が思わず「1年でこれほど成長するとは」との感嘆の声を漏らしていたほどです。
桂二葉の古典落語へのこだわり
学生時代に笑福亭鶴瓶のファンになり追っかけをするうち、落語沼にハマってしまいます。
なかでも古典落語に登場する「アホ」に憧れにも似た感情を持つようになります。
古典落語の「アホ」をやってみたいと、笑福亭鶴瓶ではなく桂米二に弟子入りします。
子供の頃からクラスのお調子者に憧れるも、厳しい親の元では「アホ」はできなかった、
とのこと。
落語の世界なら思いっきり「アホ」できると思いつき、落語の世界に飛び込みました。
なんとユニークな発想と、その実行力には驚いてしまいますね。
桂二葉の古典落語への挑戦
落語の世界では、女性の落語家が活躍するのは難しいと言われています。
なかでも古典落語は、男性が作り男性が演じてきただけに、むずかしいようですね。
人間国宝でもあった故・桂米朝の著作「落語と私」の中でも、女性落語家を育てる自信
はないと記されているほどです。
女性に古典落語はむずかしいと言われてきただけに、大賞受賞は励みになったことでし
ょうね。
NHK新人落語大賞の受賞演目は「天狗刺し」
東京落語に登場する「アホ」キャラの持ち主は与太郎。
上方落語では、同様のキャラを持ち登場する人物は喜六となります。
同じキャラの持ち主のようですが、与太郎と喜六では人物像が違います。
奇想天外な噺です
天狗刺しに登場する「アホ」キャラ・喜六は、天すき屋をやろうと思いつきます。
烏天狗を捕まえ、すきやきにすると流行るだろうと、とんでもないことを甚兵衛さんに相談を持ちかけます。
烏天狗をどこから仕入れるか相談するのですが、京都の鞍馬山に天狗はいるのでは、と聞き出かけます。
太い青竹1本と、大量の鳥もちを用意し鞍馬へ出かけます。
突拍子もない思い付きですが、鳥もちを準備するところをみると、烏天狗と鳥は同一と思ったのでしょうか。
明け方、修行を終えて奥の院から出てきたお坊さんを天狗と間違えてしまいます。
災難なのはお坊さん。
ぐるぐる巻きにされ、青竹にぶら下げられてしまいます。
青竹を担いで山をおりてくると、京の町も夜が明けてきました。
青竹につるされたお坊さんを見かけた人たちが寄ってきます。
天狗ではなく、お坊さんであることに気づきます。
この噺のオチには少しだけ解説が必要のようです
演じる落語家によってオチが違ってきます。
桂二様のオチは、
京の町を歩くにつれ人だかりができ、天狗ではなくお坊さんであることに気づきます。
「これでは天狗のすきやきはできんな。天ぷらにでもしてやろうか。」
「なんで天ぷらにならなあかんねん?」
「そやかて、ハナからコロモがついてまんがな。」
別のオチでは。
青竹を担いで京の町を歩いていると、向こうから青竹を10本ほど担いだ男が歩いてきます。
「あいつもぎょうさん捕まえる気やな!」
「おまえも鞍馬の天狗刺しか?」
「いや、わしは五条の念仏ざしじゃ!」
「念仏ざし」とは、竹製の物差しのことです。
京都では、明治の初めごろまで「念仏尺(さし)」と呼ばれる物差しを売っているお店があったそうです。
「五条の念仏尺」は有名だったらしい、とのこと。
桂二葉の古典落語では「アホ」が活き活きと活躍
上方落語に登場する「アホ」は、東京落語の与太郎とは違うキャラクターのようです。
桂二葉が演じる「アホ」は、彼女の個性が輝く噺となり笑いを誘います。
上方落語界に、久々の全国区落語家の出現です。