春風亭一花が「2025年度NHK新人落語大賞」を受賞!

人気落語家

2025年度NHK新人落語大賞は春風亭一花さんに決定しました。
2021年度大賞の桂二葉さんに次いで、女性落語家二人目の快挙です。

 

この大会の出場資格は、東京では二つ目、上方ではそれと同等の芸歴を持ち、さらに入門15年未満であること。
東西120人余りで開催される予選を勝ち抜いた6人が本選で話芸を競いました。
人気実力落語家への登竜門とも言える大会です。

 

3年連続本選出場、三度目の正直で大賞を手にした春風亭一花さんの演目は、古典落語「厩火事」。一花さんなりの工夫で夫婦の機微が表現され、オチも一花さんのオリジナルでの挑戦した。

 

今回は、この次世代の有望株・春風亭一花さんにフォーカスし、彼女のプロフィールと芸風を紹介します。
(このブログでは2度目の登場です)

 

 

春風亭一花が落語家になるまで

1987年1月生まれ
東京都台東区出身、下町の雰囲気の中で育ちました。
父親が演芸好きだったそうで、子供の頃は親せきを前にして漫才をさせられたとのこと。

 

2013年、春風亭一朝に入門
2010年立教大学を卒業。大学時代は演劇に打ち込みますが、寄席小屋の雰囲気に魅せられ落語家を目指しています。
父親の反対もあり直ぐには入門しませんでした。

 

2014年初高座
5月、横浜にぎわい座で初高座を経験します。
11月に前座となり「一花」を名乗ります。

 

2018
3月、二つ目に昇進しています。

 

実家は鞄店を営んでおり、下町の雰囲気を育まれてきました。
横浜にぎわい座で初高座では「子ほめ」を披露しています。
2025年度の NHK新人落語大賞 において念願の優勝を果たしました。

プロフィール

 

芸名 春風亭一花(しゅんぷうてい いちはな)
本名 大津奈央(おおつ・なお)※旧姓・服部奈央
生年月日 1987年1月26日
出身地 東京都台東区
出囃子(でばやし) 晒女(さらしめ)
趣味・特技 笛・絵を描くことなど芸域を広げる試みが見られます
所属 落語協会 所属、二ツ目(2025年時点)

学歴や下町育ちという背景を活かしつつ、きっちりと落語家としての道を歩んできた一花さんです。
古典落語に挑み続ける正統派の女性落語家です。
女性落語家として、伝統の中に新しい風を感じさせる存在です。

 

芸風

春風亭一花さんの芸風は、「古典落語に挑み続ける正統派ながら、新しい視点を持つ革新性」と特徴づけられます。

 

古典派志向

普段から古典落語を中心に演じており、例えば「厩火事」という古典演目でNHK新人落語大賞を制したのも、この姿勢が評価された結果です。
過剰な演出をせず、落語本来の骨格を丁寧に見せる語り口が支持されています。

 

声・間・姿勢の安定感

小柄でほんわかとした笑顔とは裏腹に、落語が始まるとその時代へとタイムスリップしてしまいます。
どこか上品で品のある印象は、江戸落語ならではのものです。
下町で生まれ育った一花さんらしい雰囲気、が多くの落語ファンの心をつかむのでしょう。

 

落語を聞く者に、安心感と引き込まれる快感を与えています。

 

女性落語家としての新しい立ち位置

女性噺家としては古典をきっちり演じる姿勢があまり一般的ではなかった時代もありました。
一花さんはその中で「女性だからこう」という枠を超え、「噺家としてどう聴かせるか」に注力しています。

 

観客・寄席を意識した環境適応力

一花さん自身も「お客さまがどんな思いで足を運んでくれたのかを想像しながら高座に上がるようにしています」と語っています。
聴き手の立場で高座を構成していることが伝わります。
この観点が、寄席・ホール・独演会など様々な場での信頼につながっています。

 

2025年度NHK新人落語大賞で披露した「厩火事」

「厩火事」は、夫婦の愛情と疑念を描いた名作。
この演目での彼女は、女性目線の共感力と、師匠譲りの“江戸の間”を絶妙に融合させ、聴衆の心を掴みました。

 

審査員からは
「緻密な構成と語りの透明感」
「人物の心情が自然に伝わる」
と高く評価され、49点という高得点で優勝。女性落語家としては久々の快挙となりました。

 

春風亭一花のこれから

今回のNHK新人落語大賞優勝を機に、真打昇進への期待が高まっています。
特に若手・女性噺家の中では頭ひとつ抜けた存在と言えるでしょう。

 

古典を芯にしながらも、「伝統を守る」だけではなく「伝統に挑む」姿勢を持つ一花さん。
一花さんの持ち味は、単なる“うまさ”だけでなく、舞台全体に漂う“柔らかさ”と“静かな熱”。
それはまるで、派手な演出のない舞台でも空気を変えるような存在感です。

 

寄席関係者からは「お客様がほっと息をつける空気をつくる噺家」と評されるなど、男性中心の世界においても、確かな実力と信頼を得ています。
今後はさらに演目の幅を広げ、人情噺や古典の大ネタも加わることでしょう。